愛するひとを見送って・・・

パートナーを失ったあなたに前向きに生きるためのサプリメント

1000人の声なき声

こんにちは、みやびです。

 

 

夫が亡くなって、小さなアパートに引っ
越して間もなくの頃、職場から持ってき
た新聞のある記事に目がいった。

 

自死遺族支援と記されてある。

 

分かち合いの会かなあ、自殺遺族のグリ
ーフケアの団体だろうか。

 

何でもいい・・・。

話したい・・・。

 

私は、新聞に記されている電話番号を押
した。

 

はい、NPO 法人ライフリンクです。

 

そのとき、電話口にでてくださった方が
その後、色々寄り添ってくれたお坊さん
でした。

NPOライフリンクは、2004年に清水
康之代表によって創設された自殺対策支
援センターです。

 

清水さんは、元NHKディレクターで主に
「クローズアップ現代」を担当されてい
ました。

 

2001年に「お父さん、死なないで~
親が自殺遺された子どもたち~」を放映。

 

清水さんは、「推進役」のいない日本の
自殺対策に限界を感じて、NHKを退職。

 

自らが自殺対策の「つなぎ役」になって
いこうとNPO法人ライフリンクを設立さ
れたのです。

 

夫が自死しなければ存在すら知らないNP
O 法人だったことでしょう。

 

私は、電話先の団体が何の活動をやって
いるのか知らずに電話に出ていただいた
お坊さんに「先月、主人が自殺しまし
た」と口走っていました。

 

優しく、色々話を聞いてくださった後に
うちの代表が遺族の方のお話を聞きたい
そうですので変わりますねとお坊さんが
変わられた方。

 

それが清水代表との出会いでした。

 

電話で話した数日後、「1000人の声
なき声」に耳を傾ける調査として清水代
表が狭いアパートにいらしゃいました。

 

その頃、日本では、年間3万人の自殺者
がいて問題になっていました。

 

調査の目的は、遺族からの聞き取りによ
って、自殺に至るまでのプロセスを明ら
かにして、自殺対策の立案・実施につな
ぐこと。

 

死から学ぶことで、自殺者を減らすこと。

 

私は、私の体験が少しでも世の中のお役
に立つのならという思いもありましたが
それより、私の叫びをただただ聞いても
らいたいと喋り続けました。

 

清水さんは、話の合間に「無理もないで
すよ」「みやびさんは、悪くありませ
ん」等と寄り添ってくださいました。

 

私は、ずっと抑え続けていた思いを3時
間話続けました。

 

これがどれだけ心の癒しに繋がったかわ
かりません。

 

その時、長女は、アルバイトで家にいま
せんでした。

 

次女が隣の部屋で戸を閉め切っていて顔
も出しませんでした。

 

知らない人にお父さんのことを何故、話
すのだろうと思っていたのかもしれませ
ん。

 

その時の1000人調査の結果をまとめ
てその後、「自殺実態白書」を発行した
り、各行政、政府に対する研修の冊子に
まとめられて世の中を動かすきっかけに
なりました。

 

あれから日本の自殺者は、年々減ってい
きました。

 

ライフリンクの講演で冒頭に動画を流し
ます。

 

それは、東京マラソンの映像です。

 

 

東京マラソンは、当初は、参加ランナー
が3万人でした。

 

スタート地点から3万人走り抜けるまで
およそ15分間。

 

ランナー、一人、一人数字が記されたゼ
ッケンをつけています。

 

沿道の家族、友人たちの声援を受けなが
ら嬉しそうに走っていく人々・・・。

 

人々の応援の声だけの映像がしばらく流
れます。

 

この走る人数の方と同じ人数の方が日本
で一年間自ら亡くなっていらしゃいま
す。

 

お一人、お一人に家族がいます。

お一人、お一人大切な方たちなのです。

 

代表の清水さんが静かに話されます。

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誰も自殺に追い詰められることのない社
会。

自殺で大切な人を亡くした人が安心して

悲しむことができる社会。

 

それは、きっと、自殺とは無関係とおも
っているひとりひとりにとっても生きて
いて心地の良い社会であるはずです。

(ライフリンクパンフレットより)

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死にたい権利もある。

死にたい奴は、死なせろ。

 

様々な意見もあります。

 

自殺をきれいごとにするな!という声も
あります。

 

それでも私は、夫は、本当は、もっと生
きていたかったのだと思うのです。